2019年のテーマ 【印刷とは何だろう】 4月 「中世ドイツ、二人のヨハン」

bunsei182gazo.jpg印刷の歴史と発展には、二人のヨハンが登場する。

時は中世ドイツのマインツ。一人は誰もがその名を知るヨハン・グーテンベルク。もう一人はヨハン・フスト。こちらのヨハンはグーテンベルクに多額の資金を提供した実業家。二人は技術者と資金提供者の関係であった。が、この関係は後に崩壊する。一方的な見方をすれば、フストはグーテンベルクの全てを奪ってしまう。グーテンベルクに多額の返済を迫り、印刷機・工場を差し押さえ、彼の印刷技術を受け継ぐ弟子、ペーター・シェッファーを娘婿にしてしまう。更にグーテンベルクが手がけていた活版印刷機で印刷した画期的な聖書「四十二行聖書」の版権も得て、娘婿シェッファーとともに完成させてしまう。全てを失ったグーテンベルクが、なぜ発明者として名を残しているのか。それは多くの金銭問題により裁判記録が残っているため、とも言われている。逆説的ではあるがその功績は明らかにされ、活版印刷技術の飛躍を明らかにした「四十二行聖書」はグーテンベルクによる発明として認識されている。

 その後、二人のヨハンはどうなったのか。実業家ヨハン・フストと娘婿シェッファーは悪役的にとらえられてしまうが、彼らの功績によってグーテンベルクが発明した技術は伝えられ、各地で発展していった。グーテンベルクはどうなったのか。一時は新たな印刷工場を手に入れることができたらしいのであるが、晩年は明らかにされておらず、諸説あり謎に包まれている。

 確かなのは、今から500年以上前の時代に、印刷技術に革新をもたらした二人のヨハンが存在していたということと、現在もヨハンのような印刷に関わる人間が多く存在していることに気づかされる。

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